平成28年12月12日(月)に開催された、県土整備・警察常任委員会(平成28年11月定例県議会 )にて以下の内容で質問を行いました。
1.所有者不明の土地への対応について
2.嬉野市内の道路整備について
3.塩田川における水辺空間の創出について
4.交通事故抑止対策の推進状況について
5.大量退職・大量採用に伴う警察力の強化について
うち、質問内容の一部を抜粋してご報告させていただきます。
1.所有者不明の土地への対応について
近年、農地等の資産としての土地保有や管理に対する関心が低くなり、金銭的、心理的な負担感が生じていると思います。
また、相続人はもとより、その地縁者、血縁も含めて先祖伝来の土地への関心が薄れてきているとも言われています。耕作放棄地対策や市町が行う空き家対策等を実施するときに、所有者所在の把握が難しい土地に係る問題が増えているという報道も随分増えてきました。公共事業において、現場での対応は喫緊の課題になっていると思います。
※以下、質問と答弁の内容(読みやすいように一部省略しています。)
(質問)土地登記簿に所有者名が記載されているにもかかあわらず、所有者不明の土地が発生する原因は何ですか。
(山下土地対策課長)
相続発生や売買、交換等による所有者移転登記がなされていない場合、あるいは登記簿の住所と実際の住所が異なっている場合には所有者が判明しない土地が多くあります。また、自治会などの地縁団体の土地は、登記が従前の自治会役員等の共有のままになされており、結果として手続相続人が多数となっております。(質問)公共事業の用地取得においては、所有者不明の土地が見つかった場合、どのような対応をされていますか。
(山下土地対策課長)
所有権を主張される方がいらっしゃる場合は、主張される本人に所有権確認訴訟等の手続きを行っていただき、新たに所有権を確定しています。
一方、所有者が不明のままの場合は、弁護士、司法書士等に不明者に変わって不明者の財産を管理していただく不在者財産管理人になっていただき、管理行為をしていただいています。
なお、不在者財産管理人制度が活用できない場合、あるいは認可地縁団体の登記の特例が適用できない場合は、土地収用法の適用による取得も検討することになりますが、今まで本県では使った事例はありません。(質問)国の対応はどういうふうになっていますか。
(山下土地対策課長)
国では、平成27年に所有者の所在の把握が難しい土地への対応方針に関する検討会を立ち上げられています。その後、平成28年3月に「所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利用活用のためのガイドライン」が作成されました。
平成27年4月には地方自治法の一部改正によりまして、地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例が創設され、地縁団体が所有する多数共有名義の土地については、一定の要件のもと、登記簿上の相続人の同意を得ることなく、市町村における公告及び確認のみで地縁団体に所有者の移転登記ができるようになりました。(質問)平成27年には国の検討会、平成28年の3月には国のガイドラインが策定されました。県では、どのような取り組みをされようとされているかお伺いします。
(山下土地対策課長)
本県では、まず不在者、土地の所有の不明な土地については、不在者財産管理人制度の活用が有効であると考えています。
また、国に対しては、平成26年と平成27年度に登記の義務化を要望などしているところです。(質問)公共事業用地の確保ができず事業の中止に追い込まれたり、あるいは計画の変更をせざるを得ないことに繋がりますから、法律の整備を国へ積極的に県として働きかけるべきだと思います。
(和泉県土整備部長)
確かに所有者不明の土地の相続が、今後、減少することなく、今のままでは拡大していく。
その中で、公共事業を行う、家を建てる、災害復旧のときにいち早く工事を行う、そういうものに支障を来たすということで、何とか解決していかなければならないと考えており、全国的に共通の課題ではないかと思っています。
登記の義務化について、国からは、不動産登記の制度は、明治以来、120年を経て我が国に定着しているということで、簡単に義務化等の見直しは難しいが、所有者不明の土地の問題の解決については重要な課題と認識しているので、あらゆる角度からその方策を検討したいという回答もいただいています。
県としても、引き続き政策提案や実情を踏まえた上で検討していただきたいと働きかけていければと考えています。