平成28年3月10日(木)に開催された、産業常任委員会(平成28年2月定例県議会 )にて以下の内容で質問を行いました。
1.お茶の生産振興について
2.県育成の中晩柑「佐賀果試35号」について
3.農林水産物や加工食品の輸出拡大について
4.集落営農法人育成加速化対策事業について
5.オスプレイ配備等による漁業への影響について
6.九州オルレについて
うち、質問内容の一部を抜粋してご報告させていただきます。
3.農林水産物や加工食品の輸出拡大について
環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPPについては、昨年10月5日にTPPの協定交渉が大筋合意に至り、その後2月4日にニュージーランドでTPP協定が署名されました。自由貿易に向けた動きが加速をしてくるということだろうと思います。
このような情勢のなか、県内への影響が大変危惧されるところではありますが、一方で本県産の安全・安心で高品質な農林水産物や食品を輸入する追い風にもなるのではないかと考えております。
県内を見ると、今後、人口は確実に減ってきます。国内消費は、人口が減るということは消費も減ると考えて良いかと思います。
そういう中で、TPPに係る動向のいかんにかかわらず、将来を見据えて県産の農林水産物や食品の輸出促進に向けた取り組みを一層強化する必要があると考えます。
※以下、質問と答弁の内容(読みやすいように一部省略しています。)
(質問)農林水産物や加工食品の輸出促進に取り組まれていますが、これまでの輸出の状況についてお伺いします。
(小路流通課長)
国内では人口減少による消費衰退が見込まれる一方で、海外では和食ブーム等を追い風に、日本からの農林水産物、食品の輸出が増加傾向にあり、先月、農林水産省が発表した平成27年の全国の輸出実績は7452億円と、年間の輸出額としては初めて7000億円を突破しています。県産品の輸出可能性等調査事業は、県産農林水産物等の主要品目に関し、輸出の可能性等を把握し、産地における輸出モデルの構築を図ることを目的といたしております。
内容としては、米、お茶、ノリ、お酒につきまして、生産者、事業者、輸出商社、県による調査チームを設けて、専門の調査機関等との連携により調査を実施することとしています。
内容としては、課題を整理し、貿易統計等のデータや各国の規制に関する文献調査に基づいて輸出有望国の仮説を立てます。その上で、海外の流通状況を確認し、調査対象品目の輸出の進め方などについてもヒアリングをすることにしています。(質問)お茶の輸出促進については、海外への販路改革も積極的に取り組むべきだと思います。どのような取り組みをされようとしているかお伺いします。
ご指摘のとおり、お茶につきましては、国内消費量の減少や販売単価の落ち込みなどによりまして、県内の産地は厳しい状況に直面していると認識しています。こうした中で県内産業の持続的発展を図るためには、お茶の輸出促進に取り組むことが重要だろうと考えております。
私ども県においても、輸出に取り組む事業者からの相談対応やお茶の輸出に取り組む嬉野市と連携の上、海外バイヤー商談会への参加や米国における緑茶の市場調査を通じて輸出の後押しを行っています。結果として、香港やシンガポールで本県の緑茶が販売さえるなど、一部、成果が見え始めているところです。しかしながら、お茶の輸入に関しては、海外では有機・減農薬栽培のお茶の需要が高いとか、業務用の抹茶や粉末茶の需要は高いけれども、安価な中国産などのお茶との競争になる、海外の消費者の味覚や思考が日本人と異なる場合があり、それに合わせた加工が必要になる。大量に流通している中国産等のお茶との差別化を図るためには、産地や商品特性等に関する説明、あるいはストーリーといったものが求められる。現時点では、産地における輸出の具体的な取り組みの方向性といったものが見いだせずにおります。
さらに現地の流通状況等を詳細に把握するとともに、現地取扱業者等へヒアリングや商品提案などを通じて輸出の可能性を見極め、産地における輸出モデルの構図を図りたいと考えております。(質問)次に、おととしジェトロ佐賀事務所ができました。このジェトロ佐賀事務所との連携をどのようにやられているか教えてください。
(小路流通課長)ジェトロ佐賀と県内生産者・事業者の輸出の取り組み状況や県の施策などについて意見交換をしながら、ジェトロの豊富なネットワークや知見を県産農林水産物等の輸出促進に生かせるよう、連携した取り組みを進めているところです。
具体的には、輸出促進セミナーの開催や、海外バイヤー招聘、商談会の開催、輸出有望案件等への個別支援に共同で取り組んでいます。(質問)県産農林水産物や加工食品の輸出について、県は今後どのように取り組んでいこうとされてるかお伺いします。
(小路流通課長)県としては、今後さらに県産農林水産物等の輸出を促進していくためには、生産者、事業者、輸出機運の醸成を図るとともに、輸出案件の掘り起こしや輸出のための環境整備が必要だと考えています。
そうしたことから、今年度(27年度)から総合商社において貿易等の豊富な経験を有する人材を農林水産物等輸出促進コーディネーターとして配置をして、輸出に取り組む事業者等を訪問しながら助言を行うなど、きめ細やかな支援をスタートさせております。
また、「Oishii SAGA(おいしいさが)」輸出チャレンジ支援事業によります加工食品事業者の海外販路改革に向けた取り組みに関する助成を行うとともに、県産品輸出可能性等調査事業を実施することにより、輸出に取り組む生産者、事業者の裾野を広げるといったことに注力していきたいと考えております。