平成28年3月10日(木)に開催された、産業常任委員会(平成28年2月定例県議会 )にて以下の内容で質問を行いました。

1.お茶の生産振興について
2.県育成の中晩柑「佐賀果試35号」について
3.農林水産物や加工食品の輸出拡大について
4.集落営農法人育成加速化対策事業について
5.オスプレイ配備等による漁業への影響について
6.九州オルレについて

うち、質問内容の一部を抜粋してご報告させていただきます。

2.県育成の中晩柑「佐賀果試35号」について

ミカン産地にも言える担い手の減少、あるいは価格の低迷、収益性が低下して栽培面積が減少するなど厳しい状況になっていると思います。このような中でミカン産地の発展を図っていくためには、他県産との差別化が図られ、消費者の方々から選んでいただける品質の高いミカンの生産拡大を進めていくことが極めて重要だと思います。

こうした中、県の果樹試験場におきまして有望な中晩柑の「佐賀果試三十五号」が育成され、昨年11月に品種登録出願公表がなされたところであります。

この中晩柑の「佐賀果試三十五号」は、品質が高く、農家から早く普及してほしいとの声があると聞いています。この品種候補を導入することにより、県内のミカン農家の所得向上に寄与するのではないかと大いに期待しています。そこで、県育成の中晩柑「佐賀果試35号」について県に対し質問をさせていただきました。

※以下、質問と答弁の内容(読みやすいように一部省略しています。)

(質問)この品種の経緯についてですが、「佐賀果試三十五号」の育種目的はどのようなものであるのか。品種登録出願公表に至るまでの選抜の経緯はどのようになっているのかお伺いします。

(成澤園芸課長)育種を開始した平成8年当時は、生産現場から品質の高い本県オリジナルのなかの中晩柑種類の開発が求められていました。県果樹試験場では、糖度が高いこと、酸の減少が速いこと、果実が大きいことの三つを育種目標として「西之香」を母本に、「はるみ」を花粉親として公配を行い、選抜を開始しました。その後、平成11年から、試験場内のハウス圃場におきまして栽培特性や品質の把握を行う選抜試験を実施し、有望な系統の絞り込みを進めてきました。なお、選抜を進めるに当たり、生産農家の代表やJAなどの関係団体を参集した優良品種検討会などを便宜開催し、現地の意見も参考としてきたところでございます。

このような取り組みにより、「佐賀果試三十五号」として平成27年8月に品種登録出願を行い、同年11月に出願公表がなされたところです。

(質問)その特徴はどのようなものですか。

(成澤園芸課長)「佐賀果試三十五号」の特徴は、酸切れが早く、無加温ハウス栽培において、他の中晩柑よりも速い1月中旬からの出荷が可能で、品質的には糖度が高いなど食味にすぐれています。また、デコポンと比較して品質のばらつきが少なく、結実性や貯蔵性がよいなどのすぐれた特性を有しております。

(質問)現地への普及について、いつごろを見込んでおられるか。そして、今後の生産拡大へ向けた取り組みを聞かせていただきたいと思います。

(成澤園芸課長)「佐賀果試三十五号」は、昨年(平成27年)11月、品種登録出願公表がなされ、権利の保護が可能となったことから、現在、JAと許諾契約の締結へ向けた手続を進めているところです。

許諾契約を締結した後に許諾契約機関へ苗木生産用の穂木を配布することとなるため、生産農家への苗木の配布は3,4年後になると見込んでいます。また、生産拡大に向けた今後の取り組みとしては、当面は現段階で高品質な果実が安定して生産できる無添加ハウス栽培への導入を進めることとしています。

さらに、中晩柑の主力となる路地栽培への導入についても検討をしていくこととしています。

なお、ネーミングを含めた販売戦略の構築も「佐賀果試三十五号」のブランド力を高めるため、早い時期から取り組んでいくことが必要と考えており、県の流通担当課やJAなどと連携して、市場関係者や実需者等の話も伺いながら鋭意検討していきたいと考えております。

「佐賀果試三十五号」は、ミカン農家にとって大変な期待があります。この期待に添えるような新品種の改良をやっていただきたいと思います。

ネーミングも含め、どういう形で売り出していくのか、どういう形で認知をしてもらうのかということを、今までと違った形でぜひ検討していただきたいと思います。市場に出たときに、わっと、注目されますし、逆に言えば、注目されないと買っていただけない、食べていただけないということです。自信を持って品種改良していただいたわけですから、ぜひそういう形の取り組みをやってきただきたいとお願いしました。