平成28年3月10日(木)に開催された、産業常任委員会(平成28年2月定例県議会 )にて以下の内容で質問を行いました。
1.お茶の生産振興について
2.県育成の中晩柑「佐賀果試35号」について
3.農林水産物や加工食品の輸出拡大について
4.集落営農法人育成加速化対策事業について
5.オスプレイ配備等による漁業への影響について
6.九州オルレについて
うち、質問内容の一部を抜粋してご報告させていただきます。
1.お茶の生産振興について
お茶を取り巻く情勢は、生産農家の高齢化、あるいは担い手の不足ということ、そして、とりもなおさずリーフ茶需要減少による荒茶価格の低迷、生産農家の収益が大幅に低下しており大変な状況になっております。このままでは県内のお茶の産業が衰退してしまうのではないかとさえ感じています。
本県のお茶の産地が持続的に発展していくためには、生産者はもとより、行政や農業団体、あるいは関係機関、そして茶商の皆さんなど関連する業者の皆さんがなお一層連携を強化していかなければいけないと思っております。
そこで、お茶の生産振興について県に対し質問をさせていただきました。
※以下、質問と答弁の内容(読みやすいように一部省略しています。)
(質問)全国におけるお茶の栽培面積、生産量の推移について答弁をお願いします。
(成澤園芸課長)全国におきますお茶の生産状況を過去20年について国の統計で見ると、栽培面積につきましては、平成7年産の約5万4000ヘクタールをピークに、その後、減少傾向に転じ、直近の平成26年産では約4万5000ヘクタールとピーク時の約8割。また、荒茶生産量については、平成16年産の約10万トンをピークに減少傾向に転じ、直近の平成26年産では約8万4000トンとピーク時の約8割となっています。
(質問)面積、量とも確実に減っているということは数字の上でしっかり表れています。その中で、県産茶の栽培面積、生産量の推移はどのようになっていますか。
(成澤園芸課長)本県におきますお茶の生産状況を過去20年について国の統計で見ると、栽培面積は、平成11年産の1070ヘクタールをピークに、その後減少傾向に転じ、直近の26年産では9028ヘクタールとピーク時の約9割。また、荒茶生産量については、平成16年産の2170トンをピークに減少し、直近の平成26年産では1350トンとピーク時の約6割となっています。
この荒茶生産量について、全国よりも本県のほうが減少割合が高くなっている原因は、全国の中で生産量の大きな割合を占める鹿児島県において、ペットボトル原料用として三番茶以降の摘採の取り組みが拡大したこと等により全国の生産量が増加していること。それから、本県においては、平成25年の干ばつにより平成26年産への影響などが考えられます。
(質問)お茶の生産農家の推移はどのようになっていますか。
(成澤園芸課長)過去10年を市町からの報告で見てみると、平成17年は1761戸であったものが、その後、毎年減少し、平成26年は887戸と10年前の約5割です。
(質問)荒茶価格と販売額の推移ですが、県産の荒茶価格は低下していると聞いていますが、荒茶価格と販売額はどのように推移しているでしょうか。
(成澤園芸課長)県産茶葉の販売状況を過去20年について西九州茶農業協同組合連合会の販売実績で見ると、荒茶価格は、平成11年産のキログラム当たり1,785円をピークに、その後、低下傾向に転じ、平成27年産では1,275円とピーク時の約7割。
また、販売額については、ピーク時の平成11年産の約29億8000万円をピークに減少傾向に転じ、平成27年産では約11億8000万円とピーク時の約4割となっています。
この販売額が大幅に減少している原因としては、ピーク時の平成11年産と比較して、荒茶価格が約7割に低下していること。それから、生産量も約7割に低下していること等に加えて、生産農家と茶商との直接取引や直接仕上げ茶の製造販売を行う農家が増加したことなども要因として考えられます。
(質問)お茶の生産量、あるいは荒茶価格の低落の原因をどのようにとらえておられるでしょうか。
(成澤園芸課長)生産量が減少している原因は、担い手の減少や価格の低迷による収益性の低下などにより栽培面積が減少していることに加え、茶園の老朽化が進み、生産性が低下していること。それから、価格が安い二番茶以降の摘採を控える農家が増加したこと。さらには高品質化による価格の確保を目的に、新芽の若く、やわらかい部分のみを摘む早摘みがなされていることなどがあると考えています。
また、荒茶価格が低下している原因としては、お茶の消費が横ばいで推移する中、簡便なペットボトル入りの緑茶飲料の割合の増加等によりリーフ茶の需要が低下していることが原因と考えます。
(質問)県は今後どのような取り組みをされていくのかお伺いします。
(成澤園芸課長)県は生産対策として、国の事業を活用し、計画的な改植による茶園の若返りや優良品種への転換を促進するとともに、県独自のさが園芸農業者育成対策事業を実施するなどして、消費者ニーズの高い「かぶせ茶」の取り組み拡大、省力化を図るための機械・装置の導入などの取り組みに対して支援を行っています。また、需要拡大対策としては、JAによる県内外における試飲会の開催などの消費拡大に向けた取り組みなどで支援を行っています。
今後、これらの取り組みに加え、農地中間管理機構を活用した担い手への優良茶園の利用集積や、農家経営を安定させるためのブロッコリーなどの路地野菜等を導入した複合経営などを促進いたしますとともに、JA等の茶販売業者が行う有力な食品卸業者と連携した販路拡大活動、それから、首都圏等における販売拠点の整備によるPRの強化などの取り組みについても、流通関係部局と連携を図りながら推進していくことにしています。
いずれにしても、お茶は中山間地域を支える重要な品目であることから、今後ともJAや市町、茶商組合などの関係団体と一体となり「うれしの茶」の振興に努めてまいりたいと考えております。
販売金額の落ち込みは10億円以上ですから、これは大変なことだと思います。
いろんな要因があるとは思いますが、実際、数字を出していただくと、厳しさが現実のものとして我々もはっきりわかってきます。
答弁いただいたように、高品質や需要の拡大、快植を後押しする、販売、販路に力を入れることなどは非常に大事だと思います。
関係団体(関係機関)、行政、茶商、生産者などが一体となって取り組まないと、この厳しさは押し戻すことができないくらいの状況に既にはいりつつあるとさえ私は認識しています。
そうは言いながらも、一方では、若い後継者がしっかり跡を継いで育ってきてくれています。ここに救いもあり、今、若い人がいろんな形で取り組みを始めています。自分たちでイベントを打って新茶やお茶を売ろうとやっています。ぜひ、県もその辺を力強く後押しをしていただきたいことをお願いしました。