政府は昨年12月24日に、平成26年度予算案を閣議決定しました。
26年度予算のポイントとして、
○経済再生・デフレ脱却と財政健全化をあわせて目指す予算
○社会保障・税一体改革を実現する最初の予算
があげられます。
省庁ごとの予算案のポイントをご紹介します。
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政府は12月24日、平成26年度予算案を閣議決定した。
一般会計の総額は過去最大の95兆8823億円。歳出の効率化を進め、未来への投資と暮らしの安全・安心の推進に予算を重点化している。
国債発行額は前年度から1.6兆円減額し、基礎的財政収支の赤字を5.2兆円改善。8月策定の中期財政計画で示した「4兆円程度改善」の目標を大きく上回った。わが党は21日に開いた政調審議会・部会長合同会議と臨時総務会で財務省から同予算の説明を受け、了承した。省庁ごとにポイントをまとめた。
成長戦略を着実に実行
【経済産業】
経済産業省の特別会計を合わせた総額は前年度比68億円増の1兆5439億円。成長戦略の着実な実行に向け、重点的な予算措置を行う。
地域経済を支える中小企業や小規模事業者の支援策を前年度から大幅に拡充する。黒字企業を倍増させるため、補正予算で措置したものづくりを支援する予算を一層上積みし「ものづくり中小企業・小規模事業者等連携事業創造促進事業」に126億円を計上。その上で世界最先端の技術革新に重点投資するため、3次元造形技術を核にした「ものづくり革命プログラム」に40億円を盛り込んだ。
わが国が直面するエネルギー問題を克服すため、資源・エネルギー政策も推進する。コストが高止まりする中、国際競争力の強化に向けて産業部門における最先端省エネ設備の投資を支援。「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」として、今年度補正予算の150億円に続いて、410億円を措置する。エネルギーの生産段階も重視し、貴重な国産資源として期待されるメタンハイドレートの開発を強化するための事業費として127億円を措置したほか、石油・天然ガスの権益獲得も推進し、供給源の多角化を進める。地中熱や太陽熱などの導入も支援し、低コスト化によって一層の利用拡大を図る。
グローバル人材を育成
【文部科学】
文部科学省関係予算は、一般会計で対前年度比0.1%増の5兆3627億円となっている。
義務教育費国庫負担金については、小学校英語の教科化や特別支援教育の充実などに対応するため、教職員を703人増やすとして、1兆5322億円を計上した。
また、世界で活躍するグローバル人材育成の体制を強化するため、国公私立大30校を「スーパーグローバル大学」に指定し、重点的に支援する(99億円)。
高校では、国公私立50校を「スーパーグローバルハイスクール」に指定。8億円を投じ、語学力やコミュニケーション能力の向上を後押しする。
大学等の奨学金事業については、676億円を計上し、意欲と能力のある学生が経済的理由により進学を断念することがないよう、無利子奨学金の貸与人員について約2万6千人の増員を図る。
真に困窮している奨学金返還者に対しては、より一層の救済措置を講じるために、経済困難を理由とする返還期限猶予の制限年数の延長と適用基準を緩和するとともに、延滞金の賦課率を現行の10%から5%まで引き下げることも盛り込んだ。
また、海外留学を促進するための無利子奨学金制度なども創設し、より一層の支援を図る。
幼児教育無償化に向けての段階的取り組みとしては、幼稚園と保育所の保護者の負担の平準化を図るため、低所得者世帯・多子世帯に対して保育所と同様の軽減措置を講じる費用として339億円を計上した。
科学技術分野では、新型基幹ロケットの開発費に70億円。スーパーコンピューター「京」の後継機開発などに新たに12億円を計上した。
新しい農政へ転換図る
【農林水産】
農林水産関係予算は2兆3267億円を計上。前年度比で1.3%増となる。
「農林水産業・地域の活力創造プラン」に基づき、新しい農政への転換を着実に実行するため、飼料用米、麦・大豆等の戦略作物の本作化を図る「水田活用の直接支払交付金」に2770億円、米を生産する農業者の経営安定のための「米の直接支払交付金(29年産までの時限措置)」に806億円など、民主党政権による「戸別所得補償制度」を見直し、産地交付金を拡充するなど新たな経営所得安定対策を実施する。また、日本型直接支払制度を創設し、農業者等で構成される活動組織が農地を維持していく地域活動等への「多面的機能支払交付金」を新規に設け、483億円を確保した。
加えて、農業の競争力強化対策として、担い手への農地集積・集約化を加速化するため、「農地中間管理構による集積・集約化活動」を新設、305億円を充てた。
一方、森林のCO2吸収源対策として、国産材の安定供給体制を構築し地球温暖化を防止するため、間伐等の森林施業や路網の整備を推進する「森林整備事業」に1197億円を盛り込んだ。
さらに、水産日本の復活に向け、資源管理・漁業経営安定対策の充実を重視し、「漁業収入安定対策事業」は25年度当初予算から7億円増の252億円、燃油価格や配合飼料価格の急騰時に補てん金を交付する基金の国の拠出金を積み出す「漁業経営セーフティネット構築事業」は、同当初予算の10億円増となる45億円となった。その他「新規就農者の確保」等で手厚い予算となった。
未来への投資と安全・安心に重点
国土強靱化政策を推進
【国土交通】
国土交通省は一般会計予算の総額が対前年度比2%増の5兆1616億円となった。重点項目については「東日本大震災からの復興加速」「国民の安心・安全の確保」「経済・地域の活性化」の3分野をあげ、限られた予算で最大限の効果を図ることとした。
「国民の安全・安心の確保」では、南海トラフ巨大地震や首都直下地震による被害を防止・軽減するため、全国レベルでの公共施設の耐震化、津波対策による強靱化の推進に1055億円。道路や鉄道など老朽化した社会資本の戦略的な維持管理・更新の推進に3199億円を計上した。
自治体における総合的な事前防災・減災対策や老朽化対策を集中的に支援する「防災・安全交付金」は対前年度比4%増の1兆841億円となった。
このほか、尖閣諸島周辺海域における領海警備に万全を期すため、大型巡視船の増強や石垣港の拠点機能の強化に393億円を計上した。
「経済・地域の活性化」では、首都圏空港の機能強化として、羽田空港のC滑走路延伸や成田空港の格安航空会社(LCC)専用ターミナル(CIQ施設)の整備などに136億円を計上した。整備新幹線の建設費720億円、訪日プロモーション費61億円なども盛り込んだ。
保育所など受入児童数を拡大
【厚生労働】
厚生労働省関係予算は、一般会計で30兆7430億円であり、対前年度比4.5%の増となった。
(1)「全員参加の社会」の実現(2)「健康長寿社会」の実現―などの分野における事業を重点事項とした。
具体的には、医療分野における研究開発の司令塔機能の創設により、革新的な医療技術の実用化に向けた研究などを推進するとともに、医薬品などが実用化するまでのスピードアップを図るための研究体制の強化費用として476億円を計上。
「待機児童解消加速化プラン」に基づき、保育所などの定員を平成25~26年度で約20万人増やし、受入児童数の拡大を図るために必要な1841億円も盛り込んだ。
また、介護を受けず自立して暮らせる「健康寿命」の延伸に向け、レセプト(診療報酬明細書)や健康診断のデータを活用し、効果的に保健指導を行う事業に35億円を計上した。
労働分野では、再就職を支援した企業に支給する「労働移動支援助成金」が前年度の2億円から301億円に大幅増。成長産業に人材をシフトする安倍政権の成長戦略に沿ったもので、対象企業が広がり、新たな助成措置が創設される。
(出典 機関紙「自由民主」1月7・14日号)