2月24日に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻は世界に衝撃を与え、状況を一変させました。国際秩序と平和を根底から覆すものであり、断じて許されません。強く非難するとともに、国際社会が連携し一日も早く平和を取り戻せるよう心から願っています。
 この国際情勢の不確実性の高まりから、世界規模で原油や穀物の国際価格が上昇しています。これに約20年ぶりの円安水準が追い打ちとなって、国内ではガソリンや重油などの燃料をはじめ、飼料、原材料などの価格が高騰しており、この影響は県民生活や県内の経済活動にも及んでいます。
 県では現場の声や状況を踏まえて対策を検討し、6月補正予算において事業者、生産者   の負担軽減や、子供たちの給食への支援などの予算を計上しています。なお低所得のひとり親世帯への給付金については速やかに支給できるよう5月に専決処分を行っております。
ウクライナ避難民支援についてはまずは30組まで順次受け入れてまいります。

 九州新幹線西九州ルートについてはいよいよ9月23日に武雄温泉―長崎間が開業します。開業に合わせ、武雄温泉駅と嬉野温泉駅において開業イベントを行うこととしており、4月20日に県、武雄市、嬉野市、JR九州、鉄道運輸機構の5者で実行委員会を設立しました。10月からは佐賀・長崎ディスディネーションキャンペーンがスタートします。県内各地に息づく文化や歴史伝統など佐賀の本物の魅力を多くの方に存分に体感していただき、開業効果を広域に波及させてまいります。
 国土交通省鉄道局との「幅広い協議」については2月10日の第6回協議でフリーゲージトレインについて議論するとともに、フル規格で整備する場合の3つのルートについて将来を見据え、佐賀県はもとより、九州の発展にどのようにつながっていくのかなど、改めて国土交通省としての考えを示すよう求めています。
 新鳥栖―武雄温泉間のあり方は、佐賀県の将来に大きく影響することであり、今後も何が望ましい姿なのかということを大きな視点を持って幅広く骨太に議論してまいります。
 県では、県道の嬉野下宿塩田線が3月に開通し、付近の渋滞緩和や病院へのアクセス向上につなげています。
 提案事項については当初予算編成後の情勢の維持に対応するため、原油価格・物価高騰対策を柱に、早急に措置を要するものについて所要額を計上することと致しました。この結果本年度の予算総額は一般合計約5,755億2700万円特別会計1944億1960万円となっております。
予算案の主な内容については、まず保育施設等における給食への支援についてです。県としては私立の保育施設や学校などに対して食材価格の高騰分を補助することと致しました。
 CSOの子育て支援活動及び福祉作業所のへの支援については、「子ども食堂」や「こども定食」、九州初のまちの冷蔵庫「コミュニティフリッジ」などこうしたCSOの活動費用に対し、補助すると致しました。
次に価格高騰の影響を受けている中小事業者への支援では、燃油の使用量が多い貨物運送事業者や建設事業者などに対しては、燃油の使用量に応じた支援金を交付することとし、また燃油の使用は少ないものの原材料の仕入れ額上昇に影響を受けている事業者に対しては応援金を交付することと致しました。
 次に、飼料価格高騰の影響を受けている畜産農家の支援については家畜の食べこぼし対策などの飼料コスト縮減につながる取り組みを行う畜産農家に対し、積立金単価の引き上げ分を支援することといたしました。
 次に条例議案のうち、「佐賀県、知的財産を大切にし、みんなで守り育て、新たに生み出す条例(案)」についての提案、理由とあわせて知的財産に対する思いを申し上げます。佐賀県には、日本の磁器発祥の地として創業400年以上歴史を持つ「伊万里・有田焼」や日本四大売薬であるの1つである田代売薬から発展した医薬品、世界的な品評会で高く評価された日本酒など、その製法・技術を磨き上げ、大切に守り繋いできた歴史があります。近年では、19年連続生産量日本一の「佐賀海苔」や黒毛和牛の最高峰と言われる「佐賀牛」などが全国に名を馳せ、さらには「いちごさん」「にじゅうまる」「サガンスギ」なども佐賀の未来を担う新品種として期待されています。
 こうした佐賀ブランドの製法や技術などは、幅広い知的な創造活動によって生み出された「知的財産」であり、佐賀が飛躍するためのかけがえのない財産です。佐賀の優れた知的財産は、一朝一夕に創出されたものではありません。「にじゅうまる」の品種開発には21年、「サガンスギ」に至っては56年もの歳月がかけられました。県民こぞって知的財産を理解し、尊重する意識を持つことが重要になります。これから事業者や県民の皆様とともに、知的財産を大切にする県として佐賀の知的財産を大切に守り、育て、知的創造を巻き起こし新たな価値を生み出していくことで、さらに世界で輝く佐賀を創ってまいります。